不動産売買における都市計画法と建築基準法とは?違いは?
不動産売買における「都市計画法」と「建築基準法」は、土地や建物の利用や取引に大きく影響する重要な法律です。
都市計画法とは
都市計画法は、都市や地域の健全な発展や秩序あるまちづくりのため、土地利用や建築物の設置について計画的な規制を定める法律です。
主なポイントは下記の通りです。
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全国の土地を「都市計画区域」と「都市計画区域以外」に分けて管理する。
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都市計画区域内では住宅用地、工業用地、商業用地など用途地域が細かく指定されている。
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都市計画の定めに従い、建築や開発には用途規制、容積率規制、高さ制限などが課される場合がある。
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開発行為や建築には原則許可制(例:市街化調整区域では原則建築不可、開発行為には都道府県知事の許可が必要)。
建築基準法とは
建築基準法は、建築物の安全性や衛生基準を確保し、都市計画に調和することを目的とした法律です。
主なポイントは下記の通りです。
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建築物の敷地、構造、設備等の最低基準を定める(耐震、消防、採光など)。
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建物を建てる際は建築確認申請が必要で、基準に適合しないと建築できない。
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用途地域など都市計画法で指定された内容に基づき、用途制限や容積率・建ぺい率などもこの法律で具体的に規定。
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建築物が接する道路の幅員(接道義務)や、敷地面積なども規制される。
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違法建築の場合は、売買時に重要な制限や告知義務が発生し、契約不適合責任の対象となる。
両法の関係と売買への影響
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都市計画法は「まちづくり」の大枠を決める法律。土地ごとに適用される都市計画(用途地域や区画整理など)が定められる。
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建築基準法は土地や都市計画の内容に沿って、具体的な建築物の基準を定める法律。
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不動産売買では、これらの法令による「制限概要」を、宅建業法(重要事項説明書)で必ず説明しなければならず、法令違反があると契約リスクや損害賠償責任が生じる。
実務ポイント
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都市計画法や建築基準法の規制内容(例:建築できるか、容積率・建ぺい率、用途制限)は売買価格や将来の利用制限に直結する。
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取引前に「用途地域」「建築確認」「接道義務」「違法建築の有無」を必ず確認し、重要事項説明書で明確に説明される。
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上記に違反していた場合、契約解除や損害賠償のリスクがある。
この2つの法律の内容や関係性を理解し、事前確認を徹底することがトラブル回避につながります。
都市計画法と建築基準法は、不動産取引に対して「利用可能な目的」や「建物の建築・利用に対する制限」、「取引手続きリスク」に直接的な影響を持っています。
売買や利用の制限
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都市計画法で用途地域や都市計画区域が決められることで、対象物件の「何が建てられるか」「将来的な土地利用方針」が明確に規制されます。
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例えば、市街化調整区域などは原則として建物の新築・転用が認められないため、「買った土地に希望する建物が建てられない」といった取引上の不一致リスクが生じます。
建築・利用の具体的な制約
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都市計画法に基づく都市計画道路予定地や市街地開発予定区域では、「立ち退きリスク」「建築物の階数・構造に制限」「行政への届出義務」が発生し、資産価値や売買手続きに大きな影響が出ます。
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建築基準法は建築物そのものの安全基準や接道義務、用途制限、建ぺい率等を定めているため、既存建物の違法・適合性が売却時のリスクとなります。
契約・説明義務
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宅建業法では、都市計画法や建築基準法による制限内容を「重要事項説明書」で必ず説明することが義務付けられています。
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これらの内容説明が不十分だった場合、「契約解除」や「損害賠償責任」「価格評価への影響」「トラブル発生」のリスクが高まります。
図表:法律による主な影響
影響内容 | 都市計画法の事例 | 建築基準法の事例 |
---|---|---|
建築できるか | 市街化調整区域不可/用途地域限定 | 違法建築、接道義務を満たさないと建築不可 |
建物の規模・構造 | 都市計画道路予定地は制限あり | 階数・容積率・建ぺい率の規制 |
契約手続き | 開発予定区域は行政への届出が必要 | 建築確認申請が必要 |
価格・評価 | 用途や規制内容で大きく変動 | 違反・既存不適格で評価額下落 |
トラブル発生 | 知らないまま購入すると契約解除リスク | 基準違反や説明不足で損害賠償 |
これらの法律は「使える物件か」「どんな建物が建てられるか」「売買契約に不備がないか」など、不動産取引の安全性・資産価値・トラブル回避に直結しています。
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